4.懲戒処分の根拠となる規程について
当会は、国土交通省に届け出た「既存住宅状況調査技術者講習事務規程 懲戒細則」において、以下の通り、詳細ルールを定めています。
【既存住宅状況調査技術者講習事務規程 懲戒細則 全文】
(目的)
第1条 本細則は、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会(以下「本会」という。)が既存住宅状況調査技術者講習事務規程(以下「事務規程」という。)第24条の規定に基づき本会の既存住宅状況調査技術者講習を修了して既存住宅状況調査技術者となった者(以下「本会講習修了者」という。)に対して第3条に規定する懲戒処分等を行うために必要な事項を事務規程の細則として定めることにより、既存住宅状況調査に係る業務の適正を確保することを目的とする。
(定義)
第2条 本細則における用語の定義は、以下の通りとする。
(1)既存住宅状況調査
既存住宅に係る住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条第1項に規定する住宅の構造耐力上主要な部分等に相当する部分等の状況の調査をいう。
(2)既存住宅状況調査技術者
既存住宅状況調査を行う技術者で、既存住宅状況調査技術者講習の修了証明書を有する者をいう。
(3)本会講習修了者
本会の既存住宅状況調査技術者講習を修了して既存住宅状況調査技術者となった者をいう。
(4)運営委員会
本会定款第39条第1項に規定する運営委員会をいう。
(懲戒処分等)
第3条 懲戒処分の種類は、次の各号のとおりとする。
(1)資格取消し
(2)資格停止
(3)戒告
2 本会は、前項の処分を行うに至らない不正行為等について、文書注意(文書により必要な指導、助言又は勧告を行うことをいう。以下同じ。)を行うことができる。
(懲戒処分)
第4条 本会は、本会講習修了者が次の各号に掲げる処分を受けたことを知ったときは、当該各号に定める懲戒処分を行うものとする。
(1)建築士法(昭和25年法律第202号)第9条又は第10条第1項の規定に基づく免許の取消し
資格取消し
(2)建築士法第10条第1項の規定に基づく業務停止の命令
業務停止期間中の資格停止
2 本会は、本会講習修了者が次の各号に掲げる事由に該当することを知ったときは、資格取消しを行うものとする。
- (1)既存住宅状況調査の業務について、刑法(明治40年法律第45号)第9条に規定する死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留又は科料(軽度の交通違反(酒気帯び、酒酔、薬物使用に関するものを除く。)に係るものを除く。)に処せられたこと
- (2)既存住宅状況調査の結果の概要について、虚偽の報告を行ったこと
- (3)既存住宅状況調査技術者の資格停止期間中に既存住宅状況調査を行ったこと
- (4)本会への虚偽の申告その他の不正な手段により修了証明書等の交付を受けたこと
- (5)本会に損害を与える行為を行い、又は本会の業務の遂行を阻害する行為を行ったこと
- (6)既存住宅状況調査技術者若しくはその所属先が暴力団員等(暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業等その他これらに準ずる者をいう。以下同じ。)に該当し、又は暴力団員等と次に掲げるいずれかの関係を持ったこと
- イ 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係
- ロ 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係
- ハ 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係
- ニ 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与する等の関与をしていると認められる関係
- ホ 暴力団員等を従事者とする関係
(7)自ら又は第三者を利用して次に掲げるいずれかの行為をしたこと
- イ 暴力的な要求行為
- ロ 法的な責任を超えた不当な要求行為
- ハ 脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
- ニ 風説を流布し、偽計若しくは威力を用いて本会の信用を毀損し、又は本会の業務を妨害する行為
- ホ その他これらに準ずる行為
3 本会は、既存住宅状況調査技術者が次の各号に掲げる事由に該当することを知ったときは、資格停止とすることができる。ただし、情状が特に重いと認められる場合は、資格取消しとすることができる。
- (1)既存住宅状況調査に関する重要な事項(既存住宅状況調査委託契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。)について、事実とは異なることを告げて既存住宅状況調査委託契約を締結したこと
- (2)既存住宅状況調査委託契約が締結されていない住宅に対して既存住宅状況調査を実施すること
- (3)既存住宅状況調査の業務に関して知りえた秘密若しくは個人情報を漏らし、又は当該業務若しくは予め関係者の許諾を得て行う業務の遂行以外のために使用すること
- (4)正当な理由なく既存住宅状況調査及びその依頼者に対する報告の全部若しくは一部を行わないこと、又は正当な理由なく相当の期間を経過しても依頼者に対する既存住宅状況調査の報告を行わないこと
- (5)自己の名義をもって、他人に既存住宅状況調査を行わせ、又は他人の名義をもって既存住宅状況調査を行うこと
- (6)既存住宅状況調査の結果について、虚偽の報告をすること
- (7)第6条の届出その他の本会が定める手続きを行わないこと
- (8)戒告を受けたにもかかわらず、次項各号に掲げる行為を継続すること
4 本会は、既存住宅状況調査技術者が次の各号に掲げる事由に該当することを知ったときは、戒告をすることができる。ただし、情状が特に重いと認められる場合は、資格停止とすることができる。
- (1)修了証明書等を提示することなく既存住宅状況調査を実施すること
- (2)文書注意を受けたにもかかわらず、その対象となった不正行為等を継続すること
(再受講の制限)
第5条 資格停止処分を受けた者は、資格停止期間中に既存住宅状況調査技術者講習(事務規程第6条第2号に規定する更新講習を除く。)を受講することができない。
2 資格取消処分を受けた者は、別表1を基準として定められた期間を経過しなければ、既存住宅状況調査技術者講習を受講することができない。
(建築士法に基づく処分等の届出)
第6条 本会講習修了者が、第4条第1項各号に掲げる建築士法による処分を受けたときは、速やかに本会へ届け出なければならない。
(既存住宅状況調査技術者審査会の設置)
第7条 本会は、本会講習修了者に対する資格取消し又は資格停止(第4条第1項による資格取消し又は資格停止を除く。)の処分の適否を判断するため、既存住宅状況調査技術者講習審査会(以下「審査会」という。)を置く。
- 2 審査会は、審査委員5名以上をもって組織する。
- 3 審査委員は、弁護士、関係法令に関する学識経験者又は裁判実務に精通する者、住宅建築に関する学識経験者又は住宅建築実務に精通する者の中から、審査及び判定できる者を運営委員会が委嘱する。
- 4 審査会は、審査委員長を1名及び審査副委員長を1名置く。審査委員長及び審査副委員長は、審査委員のうちから互選により選任する。
- 5 審査委員長は、審査会の長として審査会を統括する。ただし、審査委員長が当該案件に関する当事者と利害関係を有する他、審査の公正を妨げるべき事情がある場合は、副委員長が代行する。この場合において、第11条及び第15条中「審査委員長」とあるのは、「審査副委員長」とする。
(審査委員の任期)
第8条 審査委員の任期は選任された日から当該日の属する年度の末日までとする。ただし、任期満了の1ケ月前までに運営委員会又は当該審査委員から書面による解任又は辞任の申し出がないときは、さらに1年間継続するものとし、以後も同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、運営委員会は、審査委員が以下のいずれかに該当するときは、当該審査委員を解任することができる。
- (1)心身の故障のため、職務の執行に堪えないと認められるとき
- (2)職務の懈怠又は職務に関係する法令の違反その他審査委員たるに相応しくない行為があると認められるとき
(審査会への付議)
第9条 運営委員会は、本会講習修了者に資格取消し又は資格停止(第4条第1項による資格取消し又は資格停止を除く。)の対象となり得る事由が存在すると認めた場合は、当該本会講習修了者の懲戒事由に係る事実の調査及び審査を審査会の議に付すものとする。
(審査委員の秘密保持義務)
第10条 審査委員及びこの職にあった者は、職務に関して知りえた秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。
(審査会の成立)
第11条 審査会は、過半数の審査委員の出席により開催し、代理出席又は委任状による出席は認めない。
- 2 審査委員のうち、当該案件に関する当事者と利害関係を有する者その他の審査の公正を妨げるべき事情がある者は、当該案件の審査会の議決に加わってはならない。
- 3 審査会の議決は、審査委員長及び前項の審査委員を除く出席委員の過半数をもって行い、可否同数の場合は審査委員長が決する。
- 4 審査会の審議は、原則として公開しない。
(専門家の意見聴取)
第12条 審査会は、運営委員会と協議の上、特定の地域又は案件に関する専門知識を有する専門家を選任し、審査会の審議の参考とするため、助言を求め、又は意見書の作成を依頼することができる。
2 前項に定める専門家は、審査会の求めに応じて、審査会に出席して意見を述べることができる。
(聴聞)
第13条 審査会は、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、審査を受ける本会講習修了者(以下「被審査者」という。)に対して、処分の原因となる事実及び聴聞の期日、場所を書面により通知しなければならない。
- 2 被審査者は、通知書面を受領した日から14日以内に審査会に対して答弁書を提出するものとする。
- 3 被審査者は、必要に応じて、証拠となる書類、物又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することのできない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を提出することができる。ただし、審査会が提出期限を定めた場合には、その期間内に提出しなければならない。
- 4 審査会は、調査において必要があるときは、被審査者その他の関係人に対して陳述、説明又は資料の提出を求めることができる。
- 5 被審査者は、前項の規定により陳述、説明又は資料の提出を求められたときは、これに応じるものとする。
(代理人)
第14条 被審査者は、弁護士又は弁護士法人を代理人に選任することができる
- 2 代理人は、被審査者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる。
- 3 代理人の資格は、書面により証明しなければならない。
(聴聞の方法)
第15条 聴聞は、審査会が主宰する。
- 2 審査会は、聴聞期日において、処分の原因となる事実及び予定される処分の内容を、被審査者(代理人を含む。以下この条において同じ。)に対して説明しなければならない。
- 3 審査委員は、必要があると認めるときは、被審査者に対し、質問を発し、又は意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を求めることができる。
- 4 被審査者は、聴聞期日に出頭して意見を述べ、証拠書類等を提出し、又は質問を発することができる。
- 5 審査会は、被審査者の全員又は一部が出頭しないときであっても、期日における聴聞を行うことができる。
- 6 審査委員長は、正当な理由なく被審査者が聴聞期日に出席しなかった場合は、改めて聴聞の機会を与えることなく、聴聞を終了することができる。
(聴聞期日の非公開)
第16条 聴聞期日は、公開しない。
(審査結果の報告)
第17条 審査にあたった審査委員は、審査終了後、遅滞なく審査結果を示す文書を添えて、報告書を審査会に提出しなければならない。
- 2 審査会は、前項の審査についての報告を受け、審議の上、必要があれば修正を行い、運営委員会に報告するものとする。
- 3 運営委員会は、前項に基づく審査結果の報告を受けた後、必要と判断した場合には、追加の審査を審査会の議に付することができる。
- 4 審査会による審査(前項の規定に基づく追加審査を含む。)の結果に係る資料等は、法令または既存住宅状況調査技術者講習登録規程(平成29年国土交通省告示第81号)に基づく場合を除いて開示しない。
- 5 運営委員会は、第2項の規定により審査会から審査結果の報告を受けたときは、速やかに、被審査者に対し、次条第1項または第2項に規定する懲戒処分等の決定を行う予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。
(書類の閲覧)
第18条 被審査者は、審査会に対し、提出書類等(第12条第1項に掲げる意見書、第13条第2項に掲げる答弁書、同条第3項に掲げる証拠となる書類、同条第4項に掲げる資料及び第15条第3項並びに第4項に掲げる証拠書類等。次項において同じ。)の閲覧(電磁的記録にあっては、記録された事項を審査会が定める方法により表示したものの閲覧)又は当該提出書類等の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができる。この場合において、審査会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができない。
- 2 審査会は、前項の規定による閲覧をさせ、又は同項の規定による交付をしようとするときは、当該閲覧又は交付に係る提出書類等の提出人の意見を聴かなければならない。ただし、審査会が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
- 3 審査会は、第1項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
- 4 第1項の規定による交付を受ける被審査者(代理人を含む。)は、別表2に定める額の手数料を納めなければならない。
(懲戒処分等の決定及び通知)
第19条 運営委員会は、第9条に規定する審査会への付議を行った場合、審査会が前条の規定に基づき審査結果を報告した後、当該報告内容を踏まえ、懲戒処分等の内容を決定する。
- 2 運営委員会は、第9条に規定する審査会への付議を行わない場合、懲戒処分等の内容を決定する。
- 3 運営委員会は、第1項又は前項の決定された懲戒処分等の内容が第3条第1項に該当する場合、次項に規定する通知の前に、国土交通大臣に通知しなければならない。
- 4 運営委員会は、決定した懲戒処分等の内容(審査会への付議の有無及び当該懲戒処分等を決定した根拠を含む。)を懲戒処分等を受ける本会講習修了者に対して、速やかに通知しなければならない。
(異議申立て)
第20条 前条第4項の通知を受けた本会講習修了者は、審査会の議を経ずに懲戒処分等が決定された場合(第4条第1項による懲戒処分の通知を受けた場合を除く。)又は次の各号に掲げる事由がある場合には、通知が到達した時から14日以内に、本会に対して、書面により異議を申立てることができる。ただし、当該申立てを行った当該本会講習修了者(代理人を含む。)が聴聞期日にその事由を主張したとき又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
- (1)第7条第5項ただし書又は第11条第2項に違反して、審査委員長又は審査委員が懲戒処分に係る手続きに関与したこと
- (2)審査委員が聴聞に関与した時に第8条各号のいずれかに該当していたこと
- (3)その他、懲戒処分の決定方法に、懲戒処分の結果に影響を及ぼすべき重大な違反があったこと
- 2 運営委員会は、前項の異議申立てが同項に規定する期間経過後にされたものである場合その他適正な手続きを経ていないものである場合は、当該異議申立てを却下しなければならない。
- 3 運営委員会は、第1項の異議申立てに理由がないと認める場合は、これを棄却しなければならない。
- 4 運営委員会は、第1項の異議申立てに理由があると認める場合は、当該本会講習修了者の懲戒事由に係る事実の調査及び審査を審査会の議に付さなければならない。
- 5 前項の調査及び審査については、第9条から第18条までの規定を準用する。
- 6 運営委員会は、第4項に規定する審査会への付議を行った場合、審査会が前項が準用する第18条の規定に基づき審査結果を報告した後、当該報告内容を踏まえ、異議申立ての結果を決定する。
- 7 運営委員会は、異議申立ての結果を決定した場合、第1項の申立てを行った本会講習修了者に対して速やかにその旨の通知をしなければならない。
(懲戒処分等の効力)
第21条 懲戒処分等は、第19条第4項の通知が到達した時から30日を経過した日からその効力を生じるものとする。
- 2 前項の規定にかかわらず、前条第1項の申立てがあった場合は、同条第7項の通知が到達した時からその効力を生じるものとする。
- 3 第1項の規定にかかわらず、本会講習修了者が第4条第1項各号に掲げる処分を受けた場合における当該各号に掲げる懲戒処分の効力は、当該本会講習修了者が当該処分を受けた時からその効力を生じるものとする。
(懲戒処分等の公表)
第22条 本会は、前条各項の懲戒処分等の効力の生じた時期に応じて当該懲戒処分等の内容を本会のホームページにより公表する。
(委任)
第23条 本細則に定めるもののほか、個別の審査に関する事項を除く審査会の企画運営に関する必要な事項は、運営委員会の議を経て、審査会が別に定めることができる。://kashihoken.or.jp/)により公表する。
(審査会の事務)
第24条 審査会の事務は、講習センターが行うものとし、責任者は講習センター長とする。
(変更)
第25条 本細則の変更は、運営委員会の議を経て、国土交通大臣への届け出が受理された日から効力を有する。
- 2 本会は、本細則を変更するときは、その効力発生時期を定め、かつ、本細則を変更する旨及び変更後の本細則の内容並びにその効力発生時期を本会のホームページにより公表する。
附則
本細則は、平成29年3月10日から施行する。
【別表1 資格取消しの場合における再受講制限の方針】
(第5条関係)
再受講禁止期間 |
適用の考え方 |
2年以内 |
軽微とは言えない事実(故意若しくは重大な過失がない場合又は損害の程度が極めて軽微である場合に限る。)に対する措置 |
5年以内 |
重大な事実(故意若しくは重大な過失の有無又は損害の程度から判断)に対する措置 |
無期限 |
極めて重大な事実(故意若しくは重大な過失の有無又は損害の程度から判断)に対する措置 |
※過去に資格取消し等の履歴のある者に対する処分内容については、過去の資格取消し等の内容を勘案し、今回相当とされる処分内容より重くすることができる。
【別表2 提出書類等の写しの交付に係る手数料】
(第17条関係)